初めての岡山観光を楽しむために
岡山には豊かな自然や歴史、文化に触れられる観光名所が点在しています。訪れたいスポットにアクセスするためには、いくつかのポイントに気を付けると、限られた時間内で効率よく観光体験ができます。
岡山を効率的に移動するために事前に交通手段を計画しておくことが重要です。岡山駅周辺や倉敷美観地区を訪れたい場合、JRやバス、路面電車、コミュニティサイクル(ももちゃり)等を上手に利用すると便利です。
初めての岡山旅で「時間が足らず行きたいところに行けなかった」ということにならないよう、地元に詳しい旅行会社を上手にご活用頂き、最高の思い出をつくってくださいね。
ここで、岡山が初心者の方向けの日帰りツアーをご紹介させて頂きます。
岡山駅出発
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岡山駅周辺は、便利な立地でありながら、岡山の歴史、文化、自然を感じられるスポットが集まっています。宿泊、観光、ショッピング、食事、散策、どれも楽しめる場所が多いため、旅行の拠点として非常に魅力的なエリアです。
集合までの待ち時間も岡山駅のお土産店や、カフェでくつろいで頂いたり、駅直結の都市型ショッピングモール「岡山イオン」に足を伸ばしてみるなど、思い思いの過ごし方をして頂けます。
岡山駅からは、定番の観光スポットである岡山城や岡山後楽園も岡山電気軌道(路面電車)、市内バス、コミュニティサイクル(ももちゃり)を使ってアクセスができます。今回は車で移動してみましょう。
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岡山後楽園を優雅に散策
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JR岡山駅から車で10分ほど走ると、岡山後楽園(こうらくえん)に到着します。岡山後楽園は、茨城県の偕楽園、石川県の兼六園と並び、日本三名園のひとつとして広く知られており、美しい庭園と伝統的な日本文化を感じることができる場所です。
岡山後楽園は、江戸時代に岡山藩主・池田綱政によって作られた大規模な大名庭園です。特に広大な池とその周囲を囲む山々、季節ごとに変わる花々が織りなす風景は、四季折々の自然の美しさを堪能できます。春は桜、夏は青々とした緑、秋は紅葉、冬は雪景色が広がり、日本の四季を感じることができます。
岡山後楽園は園内を歩きながら鑑賞できる池泉回遊式庭園で、特徴的な景観のひとつは、その美しい池を中心にした水のデザインです。池には小さな島が点在し、橋を渡ることでその魅力的な景観を楽しめます。「八橋」や「唯心山(ゆいしんざん)」から眺めると、日本庭園特有の調和の取れた風景が広がり、写真撮影にも最適です。
また、岡山後楽園は東アジアの造園技法に見られる借景(庭園外の山や森林などを庭園内の風景に背景として取り込むことで、前景の庭園と背景となる借景とを一体化させて景観を形成する手法)を見事なまでに取り入れた造りになっていることも見どころの1つです。
園内には日本の伝統文化や伝統芸能を体験、鑑賞できる建物もあり、事前に予約をすれば茶室での茶道体験や能楽堂での舞台鑑賞ができる機会も提供されています。茶道は日本の文化の中で深い意味を持ち、外国からの訪問者にもその精神性や美学を感じてもらえます。静かな庭園を眺めながらの茶会は、心を落ち着け、和の精神を体感する貴重な時間となるでしょう。
岡山後楽園は岡山の自然美、歴史、文化を一度に楽しむことができる場所です。訪れることで、まるで時を超えた日本の伝統に触れているかのような、忘れがたい体験が待っています。
【岡山後楽園へのアクセス(JR岡山駅からのアクセス)】 〒703-8257 岡山市北区後楽園1-5
- 路線バス:「後楽園口(東口)」下車、徒歩すぐ
- 路面電車:東山行き「城下」下車、徒歩10分
- タクシー:約10分
- 徒歩:約25分
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林原美術館で日本の美を感じる
後楽園から歩いてすぐの場所に林原美術館があります。林原美術館は、岡山城二の丸屋敷跡に位置し、観光客にとって魅力的なコレクションを揃えています。日本の伝統文化やアジアの美術に興味のある方々にとっては、非常に貴重な体験ができる場所です。
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林原美術館は、日本の浮世絵や刀剣・武具、能面・能装束、中国をはじめとする東アジアの古代工芸品、陶磁器など、美術的価値の高い貴重なコレクションが充実しています。
日本で最も有名な浮世絵師、葛飾北斎の作品も収蔵されています。浮世絵の色鮮やかさや精緻な技術は、多くの海外観光客を魅了しています。
また、日本一の生産量を誇る日本刀の産地、備前長船の刀剣も収蔵しており、その精巧な作りと美しさに日本らしい美的感覚や工芸技術の高さを感じて頂けるでしょう。
(展示期間や内容については林原美術館ホームページをご覧ください)
現地を訪れた際には、美術館の建物自体にもぜひご注目ください。本館は、1963年に前川國男氏により設計された鉄筋コンクリート造の建物で、有形文化財(建造物)に指定されています。美術館の庭園も美しく、四季折々の風景を楽しむことができます。静かな環境でアートと自然を共に楽しむことができます。
【林原美術館へのアクセス(JR岡山駅からのアクセス)】 〒700-0823 岡山市北区丸の内2-7-15
- 岡電バス:岡電高屋行 県庁前下車、徒歩3分
- 宇野バス:瀬戸駅前行・四御神行 県庁前下車、徒歩3分
- 循環バス:県庁医大線 県庁前下車、徒歩3分
- 路面電車:東山行き「城下」下車、徒歩10分
- タクシー:約10分
- 徒歩:約22分
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岡山城で江戸時代を体験しよう
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岡山城は、岡山市の中心部に位置し、歴史的な魅力と美しい景観を兼ね備えた名城です。日本の城郭建築や武士文化、さらには天守閣から岡山市内を一望できる場所として非常に人気のスポットです。
岡山城は1945年の空襲でほとんどの建築物が焼失しましたが、旧藩士を中心とした市民活動により1966年に往事の姿を偲ばせる天守が再建されました。その独特な黒い外観から「烏城(うじょう)」と呼ばれ、見る人に力強い印象を与えています。この黒い塗装は、戦に備えて外敵の視界から城を隠す目的があったとも言われています。このような視覚効果の他、黒漆喰による軽さと防水性を兼ね備えた、計算し尽くされた設計になっていることが伺えます。
天守の中は展示会場とカフェになっています。岡山城の歴史や歴代藩主の所有物を紹介する展示室があり、体験を交えながら楽しく日本の城や武士文化を学ぶことができます。
天守に更に登っていくと、最上階からは岡山市街や周囲の美しい風景が一望できます。天守からは、岡山後楽園や、吉備の山々が遠くに見渡せ、四季折々の景色を楽しむことができます。特に晴れた日には、周囲の美しい自然を眺めながら、日本の伝統的な城郭と自然が調和する景色を堪能できます。
午前中にしっかりと歩いたら、ここからは車に乗ってランチ会場へと向かいます。
【岡山城へのアクセス(JR岡山駅からのアクセス)】 〒700-0823 岡山県岡山市北区丸の内2丁目3−1
- 岡電バス:岡電高屋行き・東山経由西大寺行き「県庁前」下車、徒歩約5分
- 路面電車:東山行き「城下」下車、徒歩10分
- タクシー:約10分
- 徒歩:約27分
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ランチタイムは地元のソウルフードを満喫
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岡山は豊かな自然と安定した気候で、食材にも恵まれ、美食の街としても知られています。
岡山のえびめしは、岡山県を代表するご当地グルメのひとつで、地元の食堂で親しまれています。色とりどりの具材とともに炒められたチャーハンのような見た目をしていますが、えびが主役となる点が特徴です。 ケチャップやトマトベースのソースで味付けされることが多く、少し甘みがあり、ソースの風味が強く感じられます。
えびめしの発祥は諸説ありますが、一般的に言われているのは、戦後の食糧不足の時代にさかのぼります。戦後、物資が不足していた時期に、岡山では安価で手に入るエビを使った料理が発展しました。エビは当時、地元の瀬戸内海から簡単に手に入る食材であり、これを使った炒めご飯が「えびめし」として親しまれるようになったと考えられています。 また、岡山は昔から和食と洋食を融合させた独自の食文化が根付いており、洋風のソースで味付けされた「えびめし」は自然と人々に受け入れられてきたのではないかと言われています。
斬新な見た目と癖になる味付けから、最近では観光客にも注目されており、岡山を訪れた際にはぜひ岡山の歴史、文化とともに味わいたい料理です。
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吉備津神社で古代吉備国の歴史に触れる
岡山の中心地から車で少し西に移動すると吉備津神社に到着します。
吉備津神社(きびつじんじゃ)は本来、古代吉備国(現在の岡山)の総鎮守でした。645年の大化の改新後、古代吉備国は備前・備中・備後に分割され、その備中国一宮として現在に至ります。吉備津神社のあるエリア一帯は、岡山県内でも特に歴史的・文化的に重要な場所であり、古代の伝説や歴史が色濃く息づいています。
吉備津神社は、大吉備津日子命(おおきびつひこのみこと)を祀っており、彼こそが桃太郎伝説のモデルとなった人物です。 大吉備津日子命は、実際には大和朝廷の王子で、吉備地方を平定した英雄とされ、後に神格化されました。そのため、神社は吉備地方の守護神として信仰されています。
吉備津神社の本殿と拝殿は国内で唯一の「比翼入母屋造(ひよくいりもやづくり)」で、国宝にも指定されています。また、本殿に繋がる長い回廊はとても特徴的で、神社の建築美を楽しみながら、参拝ができます。
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【吉備津神社へのアクセス(JR岡山駅からのアクセス)】 〒701-1341 岡山県岡山市北区吉備津931
- 電車:JR岡山駅 ~ 吉備津駅(約17分)、徒歩約10分
- タクシー:約20分
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鬼ノ城で桃太郎伝説の謎を解いてみよう
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吉備津神社からは再び車で移動します。道中にはかつて吉備国が栄えていた時代を偲ばせる巨大古墳群や遺跡が見えてきます。30分ほど進んだ先に鬼ノ城があります。
鬼ノ城(きのじょう)は、岡山県総社市にある古代山城で、吉備地方の歴史や伝説に深く関わっています。特に、桃太郎伝説との関連で有名で、訪れる人々をその神秘的な歴史と壮大な景観で楽しませてくれます。
鬼ノ城は、7世紀後半に築かれたと推測されています。吉備地方は当時、豪族が支配する地域であり、鬼ノ城はその防衛拠点として建設されたと考えられています。この城は、外敵の侵入を防ぐための要塞であり、特に西の方向からの攻撃に備えていたとされています。城内の面積は約30haと山城としては国内最大級の規模を誇り、周囲を約2.8kmの城壁で囲まれています。現在は、その城壁に沿って歩道が設置されており、全てを巡ると約2時間ほどのウォーキングコースとなっています。
鬼ノ城の見所は何と言っても、そこから遠くの山々まで見渡せる展望です。鬼ノ城は山頂に位置しているため、城跡からは広大で美しい風景を楽しむことができます。特に、晴れた日には吉備の平野や瀬戸内海の景色が一望でき、その壮大さは圧巻です。この景色を楽しみながら、古代から現代に続く歴史の流れに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
また、鬼ノ城はその名前の通り、桃太郎伝説に登場する鬼が住んでいた城とされており、桃太郎が鬼退治をするために向かった場所だと伝えられています。物語では、桃太郎は鬼を討伐するために、犬、猿、キジといった動物たちを連れて鬼ノ城に向かい、鬼を退治した…と言われていますが、その真相を探りに鬼ノ城を訪れてみても良いかもしれませんね。
【鬼の城へのアクセス(JR岡山駅からのアクセス)】 〒719-1101 岡山県総社市奥坂
- 電車:JR岡山駅〜総社駅(約35分)、総社駅からタクシー(約20分)
- タクシー:約45分
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王子が岳で瀬戸内海の大自然を一望
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鬼ノ城から車で1時間ほど走ると、瀬戸内海に到着します。中でも王子が岳は瀬戸内海を一望できる絶景スポットがあり、時間帯によって変化する瀬戸内の様々な顔をゆっくりと楽しむことができます。特に、夕日が沈む時間帯は絶景を堪能できるため、写真撮影に訪れる人々にも人気です。
岡山旅行の締めくくりに、この景色を眺めると疲れも忘れるかもしれませんね。
【王子が岳へのアクセス(JR岡山駅からのアクセス)】 〒706-0028 岡山県玉野市渋川4丁目
- バス:渋川行き特急バス「渋川」下車(約70分)、「渋川」よりタクシー(約10分)
- 電車:JR岡山駅〜総社駅(約35分)、総社駅からタクシー(約20分)
- タクシー:約50分
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美食の街・岡山のおもてなしグルメと地酒で旅の締めくくり
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旅の終盤は再び岡山駅に戻ってきます。岡山駅から歩いてすぐの西川緑道公園沿いは水と緑豊かな遊歩道があり、その周辺に居酒屋や料理店、バーが集まっています。
瀬戸内で獲れる新鮮な魚介類をはじめ、地元の野菜や果物をふんだんに使った料理を、地酒とともに楽しんでみてはいかがでしょうか。
JR岡山駅(赤印)から出発し、左回りのルートを車で周遊してきました。岡山にはこの他にも多くの観光名所、絶景スポットが点在しています。お出かけの際には、アクセスや営業時間など下調べを行って頂き、素晴らしい旅をお楽しみください。