温羅伝説に登場する地
今回は、岡山市にある矢喰神社です。
温羅と大吉備津彦命が矢を放ち合って、空中で噛み合い、この地に落ちたと言われています。
その場所に宮を建てて矢喰宮(現在の矢喰神社)となった、という伝説です。(吉備津宮縁起)
ちなみに、矢の落ちたところは、昔は海だったそうなので、海水が引いた後に創建されたということでしょう。
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写真の岩は、郷土記念物とされている矢喰の岩です。
矢喰神社の境内には、こうした巨石がいくつかあります。
これは温羅が大吉備津彦命に投げたものと言われています。(鬼ノ城縁起)
小さな神社ではありますが、壮大な伝説を持つ神社なのです。
吉備津神社と鬼ノ城のちょうど中間地点に造営
吉備津彦命と、温羅との戦いゆかりの場所として知られています。
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吉備津彦命は当時、数千もの兵を率いて戦陣を組んだといいます。東方には吉備の中山(吉備津神社・吉備津彦神社のあたり)に数千の兵を置き、西方には楯築遺跡のあたりに石楯を組んで温羅に挑んだのです。
温羅は新しい技術を用いて勢力を伸ばしているという話ですから、吉備津彦命は万全を期したのでしょう。
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温羅伝説の伝承
温羅伝説では、お互いに放った矢は空中でぶつかり、海に落ちました。吉備津彦命は知恵を絞りました。今度は矢を2本放ったところ、1本目は同様に温羅の矢と衝突して海に落ち、2本目は温羅の左眼に命中したのです。血を大量に流して逃げていった温羅は、最後に鯉に化けて川に飛び込みますが、追って鵜に変身した吉備津彦命に捕らわれてしまいました。
鯉になって捕まった温羅を祀るのが「鯉喰神社」。血で赤く染まった川は、近くの「血吸川」として今も知られています。
矢喰いの岩のそばに生えていた竹は吉備津彦命の矢が落ちてそこに根付いたものと言われているそうです。
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