集落の先に現れる巨大な岩窟

温羅伝説にまつわるスポットのひとつです。
鬼ノ城から車で10分ほど北上したところに、ポツポツと立ち並ぶ家屋を抜けると急な石段が現れます。


勾配のある階段をのぼると、大きな岩窟が目の前に現れました。
体長4mの巨漢とも言われた温羅が、巨大な岩を持ち上げて岩窟をつくり、すみかにしていたと言われている「鬼の差上げ岩」です。

その大きさは縦 約15m×横5m×奥行き5m。スケールの大きさに驚きます。

2カ所の大きな穴のうち、左側には更に伝説が残っています。
この穴から大蛇が飛び出て山を駆けのぼり、それが龍となったことから、その山は現在の「登龍山」と呼ばれているという物語です。

この場所がみつかったのは平安時代。このサイズ感にも関わらず、土が流れて全貌がわかるようになるまで、長年誰も気づかれずにいたといいます。

同じ敷地には「岩屋寺」という江戸時代に最盛期を迎えたとされる寺院があり、多くの人々のお参りで賑わったとのこと。中には、遠方の人々が「岩屋にお参りにいく」と家族に嘘をつき、お酒や遊戯といった娯楽目的に吉備国に旅行にきたという小話も伝わっているそうです。

現に、岩屋寺は「三十三観の道」という山道に観音様が33カ所祀られている当時のハイキングコースでした。(現在ほとんどの観音像は別の場所に移動されていますが、山道は鬼ノ城へと続くトレッキングロードとして残っています。)

この岩屋寺にある観音様は、三十三観音ロードの最初の観音様であり、この道からスタートしていきます。

このエリアには鬼に由来する名前が多くつけられています。
写真は「鬼の餅つき岩」。この上で鬼が杵をついて餅を作って食べたとされています。

岩窟は上に登ることが可能で、巨大な岩が一枚岩であることも見て取れます。

鬼ノ城にお越しの際は、もう少し足を延ばして鬼の伝説を感じられる岩屋まで訪れてみて下さい。