備前焼の歴史と伝統を託す神秘の場所


岡山県備前市は美しい自然と歴史が息づく土地で、その中には多くの神社仏閣が点在しています。今回は、備前市吉永町にある「田倉牛神社(たくらうしがみしゃ)」についてご紹介します。

この神社は、牛の神様である「牛頭天王(ごずてんのう)」を祀っており、地域の人々にとっては信仰の対象として、観光客にとっては美しい景観と文化的な体験ができる場所として親しまれています。

田倉牛神社の由来

田倉牛神社は、地域の人々にとって厳かな場所であり、歴史と伝統を感じさせる存在として深く根付いています。
その歴史は、古代の奈良時代にまで遡ります。具体的な創建年代ははっきりしていませんが、牛頭天王を祀ることに由来しています。

牛頭天王は、農業や家畜の守護神として信仰され、人々の豊穣や安全を願う祈りの対象となっています。
近年、牛頭天王は上記の人物像として描かれており、祭神として神社入口の天牛舎で拝むこともできるようになりました。

お参り

手水舎(てみずや)で手を清め、鳥居をくぐって境内に進みます。境内は広く、スロープのように長い山道になっており、お参りから鳥居までのルートではトレッキング気分も味わえます。

田倉牛神社が他の神社と異なるのは、「備前焼でできた牛馬像」を奉納すること。

好きな牛馬像をひとつ購入して、お祈りをして頂上にあるご神体にお供えします。その際に、既に奉納されている牛馬像をひとつ持って帰って、家でお祈りをしてよいとのことなのです。

参拝後に願いが叶ったと感じたり、牛頭天王が祈願を受けとめて下さったと思ったら、その牛馬像と新たな牛像をご神体へ持参し、ご神体に奉納します。倍返しのお礼詣りをする習わしですね。

備前焼の牛馬像と田倉牛神社の結びつき

田倉牛神社には拝殿はありません。ご神体は石製の彫刻された牛。その周りには、奉納された備前焼の牛馬像が数十万と摘まれており、それを神座として人々は参拝します。

牛馬像は20万とも言われているそうで、近くで見るとその壮観です。

境内や天牛舎には、備前焼の職人によって作られた美しい牛馬像が数多く展示されています。(購入も可能)
これらの像が、豊かな自然環境と調和し、田倉牛神社の雰囲気を一層引き立てています。信仰の対象としてだけでなく、芸術としても人々に愛されているのが伝わります。

後利益

古くから牛頭天王を農耕の神として多くの信仰を集めてきたため、今でも飼牛の病気平癒を祈願する人々が多いそとのこと。
一方で、昭和初期以降は時代の変遷とともに、一般的な五穀豊穣、家内安全、結婚、就職、入試、交通安全、商売繁盛などさまざまな願い事の対象となっています。牛頭天王は、流行病や天変地異の災害から地域住民を守る神として、江戸時代初期に勧請されたとされています。

現在の姿に至る経緯には、かつて岡山藩が農業振興策の一環として、農家に牛の飼育を奨励し、各村に牛を配布したことが影響していると言われています。

毎月の5日には小祭が行われ、特に正月、五月、九月の5日は大祭として盛大に祝われます。正月の五日は初詣の日として多くの人々が訪れ、様々な願い事をお伝えします。

備前焼の美しい牛馬像や、後利益の考え方といった要素も、この神社をより魅力的に感じさせてくれますね。
歴史と現代が交差する場所として、心豊かなひとときを感じられる場所としておすすめです。