鬼ノ城は岡山で最もパワーを感じる地の1つ
岡山県総社市にある鬼ノ城(きのじょう)に行ってきました。
ここは、私がすごくパワーを感じている遺跡です。
岡山と韓国のつながりを感じる地
私がパワーを感じる1つ目の理由は、鬼ノ城が岡山と韓国のつながりを感じさせることです。
鬼ノ城築城の由来については諸説あり、真相は今も謎ですが、韓国とのつながりの強さを感じさせる説があります。
まず、663年に勃発した白村江の戦いで日本・百済連合軍が敗れたため、唐・新羅連合軍の襲来を警戒して築城したという説です。
この時期、百済からの亡命貴族と協力して、日本のあちこちに朝鮮式山城が築かれています。
鬼ノ城は文献に残っていないため、区別して神籠石系山城(こうごいしけいさんじょう)と呼ばれますが、どちらも起源は朝鮮半島です。
また、温羅伝説では、温羅が大和朝廷に対抗して鬼ノ城を築城したとの説があります。
温羅は、百済の皇子と言われていることから、百済の人たちが関与して築城されていることになります。
韓国では、『朱蒙』や『太王四神記』など、百済やその先祖に関係する番組も放映されました。
鬼ノ城は、そんな韓国と岡山のつながりを感じさせてくれます。
鬼ノ城からの岡山・倉敷の景色がオススメ
私がパワーを感じる2つ目の理由は、訪問するたび何か勇気を与えてくれることです。
鬼ノ城から眺める岡山・倉敷の景色は素敵です。
岡山・倉敷の景色を見渡すと、自分を奮い立たせてくれるのです。
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鬼ノ城復元の歴史
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私が鬼ノ城を初めて訪れたのは中学生の時。
その頃は石垣や礎石しかありませんでしたが、2004年に城の西門と角楼が復元されました。
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鬼城山(きのじょうざん)ビジターセンターには遺跡の展示室があり、展示パネルやジオラマ・解説つきの映像資料もありました。入場無料です。
参考文献:『岡山検定公式参考書 コンパクト版』
当時の高度な建築技術が今も残る
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標高約400mの立地を中心に、急斜面の丘に立つ山城。こういった状態で残存している設計は全国でも珍しいそうです。目的は、水はけをよくすること。雨の多い山地で土壁部分が溶けて流れないよう、石を丘の様にならべてその上に城壁をたてたと言われています。
城壁は鬼ノ城の8-9合目あたりをぐるっと約2.8kmもめぐっており、中国の万里の長城を思わせる造りです。
驚くことに、城壁の下段の石は建設当時のものであること、そして城門の柱の位置も同じく完全に当時の配置になっています。石畳は切断されている跡がありますが、これは石を切る技術=火を利用する技術があったことを示しています。
また、城壁内には排水のための水門が6つも発掘されています。標高の高い立地には溜池もあり、当時の生活を支える用水が管理下にあったこともうかがえます。
7世紀において、これらはかなり高度な建築技術であったとされています。朝鮮半島から流れ着いた温羅がもたらした技術と言われる説もあるようです。
トレッキングで楽しむ鬼ノ城
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散策は最短15分~3時間程度まで、興味のあるスポットを組み合わせれば様々なルートが楽しめます。
壮大堅固な西門からトレッキングロードを進むと「屏風折れの石垣」に到着します。
天気が良ければ、吉備津神社や矢喰の宮も見渡せる絶景ポイントです。
鬼ノ城は意外と知られていないのですが、さえぎるものが何もないため、朝日やサンセット、そして夜景も楽しめるスポットだとビジターセンターの方が教えて下さりました。(帰り道が狭く、かつ真っ暗になりますので、夕方以降の訪問はお気を付けください。)
また、鬼ノ城をぐるっと散策すると、途中に岩に刻まれた観音様が現れるのをご存知でしょうか。
実はこのエリアには33カ所の観音様が祀られているそうなのですが、ほとんどは移動されてしまい、現存するものは2カ所だけになってしまったそうです。(もう1か所は近隣の『岩屋/鬼の差上げ岩』に残っています。)
この観音様は江戸時代に刻まれたもので、縁起の良い『岩屋』に向かうまでのハイキングコースとして存在しているそうです。
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おススメの季節は空気の澄んだ11月〜2月。山歩きをすれば体も温まり、景色もひと際美しいとのこと。
トレッキングロードの一部は、昭和初期までバイク愛好家のオフロードだったものを再利用されたものだそうです。人の手がほとんど加えられていないため、珍しい野生生物や岡山ではここでしか見られない植物もあるようです。
昭和にあった山火事で初めて発見された山城。
しかし、過去の文献にはどこにも登場しないそのミステリアスさと、高い技術で精巧に造られた城壁に来る度引き込まれることでしょう。
日本100名城にも選ばれた国史跡にぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
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